小金井歯科医師会

8020運動

【平成18年11月01日号】
東京都小金井歯科医師会 / 田中 康雅

8020運動をご存じですか。「8020」は「ハチ・マル・ニイ・マル」と読み、「8020運動」とは「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。平成元年、当時の厚生省と日本歯科医師会が提唱し、自治体、各種団体、企業、そして広く国民に呼びかけてきました。

なぜ、あえて8020という数字を掲げたかというと、知歯(親知らず)を除く28本の歯のうち、少なくとも20本以上自分の歯があれば、ほとんどの食物をかみくだくことができ、おいしく食べられるからです。つまり、「高齢になっても20本以上自分の歯を保ちましょう」というのが、その主旨です。

厚生労働省の2005年の発表によれば、20本以上歯を持つ人の割合は、80~84歳で21.1%となり、前回6年前の調査時13%から、8ポイントの大幅増となりました。同省は「8020運動の成果で虫歯と歯周病予防の意識が高まったことと、悪い歯を抜かずに残す保存治療が普及したためでは」と分析しています。

このように、8020達成者は着実に増加していますが、より確実なものとするためには、生涯を通したお口のケアが必要不可欠です。

8020の達成につながり、生涯を通じて健康で豊かな生活を送るための全身的な健康のうえに立った歯と歯ぐきの健全な状態をめざすには、各年代で、どのような注意が必要なのでしょうか?

妊娠して第7週で乳歯の芽ができ始めます。お母さんは栄養のバランスがとれた食事を心がけなければいけません。乳幼児期には、乳歯の健康が、永久歯の健康にも関わっています。生活リズムの基本を確立する時期でもあり、シツカリ食べること、歯みがきの基本をマスターさせてください。

学童期に入ると、永久歯が芽生えます。この時期は、乳歯と永久歯が混ざりあって、歯並びがそろっていないので、歯ブラシの届きにくい歯が多くなります。正しい歯磨きはもちろん、正しい食生活が、きれいな歯並びをつくるためにも大切です。

思春期には、永久歯列が完成し、かみ合わせが安定します。生活習慣も自立しますが、不規則な生活から間食なども増え、お口の健康に対する意識が渾らぐ時期です。歯肉炎が増加する時期もこのころからですので、注意が必要です。

成・壮年期に入ると、歯周病で多くの人が、歯を失いやすくなります。ストレスなどからの「歯ぎしり」は歯周病を一層悪化させますので、定期的な正しいケアが大切です。

生涯を通して、おいしい食事、楽しい会話をして、若さを保ってください。よくかむと唾液もよく出て周囲の筋肉にもバリがあります。たとえ8020の達成が無理だとしても、失った歯に入れ歯を入れ、お口のケアを続ければ食事も進み、日常生活に支障をきたすことは防げます。また、かかりつけの歯科医を持ち、定期的にチェックすることも必要です。

小金井歯科医師会では今年より、「8020応援団」を実施し、地域でも8020運動を推進していきます。