小金井歯科医師会

学校における健康づくり

【平成26年11月号】
東京都小金井歯科医師会 / 古田 昭彦

現在わが国は、世界に冠たる超長寿国になりつつあります。
報道によると、2020年東京オリンピック開催の年には総人口の3割以上が65歳以上と予測され、 生涯にわたって身体のセルフコントロールを可能とする元気な老後をめざす「健康長寿」が求められます。

 現実には長期にわたる不適切な生活習慣が原因である生活習慣病は現代病とされ、その始まりは学童期からと言われています。
学校教育における適切な学習・指導による「健康観の育成と日常生活」という健康増進のための行動確立が重要です。
しかし、健康に対する興味や認識が低い子供に生活習慣病を理解させることは容易ではありません。
自ら鏡を見る事で直接観察できる「歯・口」は貴重な学習材料と言え、 歯垢付着による歯肉炎は、適切な歯磨きにより改善が見られます。
放置すればむし歯に進行し治療の必要となる要観察歯も歯磨きや間食など生活習慣の改善により進行を止めることが可能です。
これらの経験は「自分の体は自分で気を付け、大切にすれば報われる」という極めて重要な実体験です。

 生涯にわたる健康づくりは、乳幼児期のようにおおむね保護者などの手にゆだねられ管理される「受動的健康づくり」から、 成人期以降の自らの思考・判断による意思決定や行動選択による「自律的健康づくり」へと移行します。

 その大切な転換期が学童期です。
「歯・口」の健康づくりを含む学校での健康教育が、国民の一生の健康づくりの方向や質を決定する基礎的な素養が育まれる場と思われます。