小金井歯科医師会

お口の終活?

【令和6年5月号】
小金井歯科医師会 / 松本 亨

 8020運動という言葉があります。80歳になっても20本以上の歯を残そうというものです。20本以上残せれば食生活にほぼ満足できると言われています。

 生涯自分の歯で食べる楽しみを味わえるように、若いころからの口腔ケアの積み重ねが大事であること、それは大前提です。

 しかし残念ながら高齢になっていくと、歯だけでなく飲み込みなどの機能、通院する身体機能、認知機能やなにがしかの病気にかかるなど全身の機能が低下していきます。

 そして通院が困難になる、歯磨きといったセルフケアが困難になるときにどう向き合っていくか、また困難になることを想定して事前にどう向き合うか、ということを考えていく必要があります。

 いわばお口の終活です。

 今現在はさほど問題なく使えている歯でも、将来的に不具合が予測されるケースに対し、大きな病気にかかっていない、通院できる間に、歯の再治療、またはいっそのこと抜歯をした方がいい場合も多くあります。病状によっては抜歯すること自体が困難になる場合もあります。

 そして通院が困難になってきたときに利用していただきたいのが訪問診療です。

 もちろん訪問診療では治療が限られるため、前述のように通院可能な間に手を加え、訪問診療で出来るだけ維持する、悪化を緩やかにしていきます。

 そのように最後の時まで楽しくお食事出来るように早めにケアし対処していくことをご一考し、かかりつけ医にご相談してみてください。