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歯の健康メモ
歯周病(歯槽膿漏)の発見法
【平成15年11月05日号】
東京都小金井歯科医師会 / 三浦 健二

誰にでも分かる歯周病の兆候として、口臭があります。口臭の原因はほかにもありますが、歯周病によるものが多く、その発生源は、歯ぐきと歯根の間から出るうみです。歯周病菌により、歯ぐきに炎症が起きると毛細血管から白血球が出てきて菌と戦います。そのときの菌や白血球の死骸がうみです。炎症がひどくなって骨の近くまで来ると血液の中の破骨細胞が自分の骨を壊します。ちょうど、江戸時代に火消しが周辺家屋の打ち壊しをして火の手が広がるのを防いだのと同じ理由です。放置しておくと最終的には歯の周りの骨がほとんど無くなってグラグラになり歯が抜けてしまいます。

歯周病を白己診断する簡単な方法があります。唇をそっとめくって鏡で見ると、(1)唇、(2)唇の裏側、(3)歯の根もと近くの歯ぐきが見えます。歯ぐきが健康なら、色の濃さが(1)(2)(3)の順に薄くなり、歯ぐきはピンク色で、その表面にはケシ粒ほどの毛穴に似たステップリングというブツブツがあります。

歯ぐきの形の理想的な形は、富士山のすそ野のように歯に沿った形です。ぼた山のようにふくれあがっていたら炎症がある証拠です。

歯磨きのとき、血が出ればはとんどが歯周病です。歯ぐきが歯と接する所が潰瘍を起こしていて、歯ブラシでふれることにより出血が起きます。ただし、強く磨きすぎて歯ぐきに傷を作って出血している場合もあります。

食べ物の残りかすを歯周病菌が分解してできたものを、プラークと言います。これが歯と歯ぐきの境目につくことにより、歯ぐきの炎症が起きます。ここのプラークを取るためには、歯を磨くというより、歯ぐきを磨く気持ちで歯磨きすることが必要です。その際、力を入れないで歯ブラシの毛先が動くよう軽く磨きます。ちょうどいいのは300グラムといわれていて、鉛筆で字を書くくらいの力になります。

歯周病は生活習慣病の一つで、毎日の生活習慣が積もり積もって起きるものです。一日一日で起きる炎症はほんの少しのものですが、それが何年もの間に進行してしまいます。

近年、歯周病菌により、身体のほかの部分の病気が引き起こされることが分かってきました。歯周病菌が血液に入って心臓へ回ると狭心症や心筋梗塞、また脳へ回ると脳卒中になることもあります。糖尿病の悪化につながったり、気管に入って気管支炎や肺炎になることもありますので、全身の健康のためにも口の管理に気をつけましょう。歯科医師会の調査によれば、80歳で20本以上歯の残っている方(8020)は、健康寿命が長く医療費もかかっていません。

歯科医師会では、8020運動の一環として市と共に検診事業を行っています。皆さんも年に一度は歯科医院で検診してもらいましょう。