東京都小金井歯科医師会 | 小金井市の歯科医院(歯医者)の検索などにお役立て下さい。

HOME歯の健康メモ > 親知らずとは
歯の健康メモ
親知らずとは
【平成15年05月05日号】
東京都小金井歯科医師会 / 岩内 恒雄

人間の歯は6歳ごろから乳歯の交換が始まり、12〜13歳ごろには親知らず(第三大臼歯)を除いた28本の永久歯が生えそろいます。

その後14〜15歳から20歳前後にかけて、親知らずが生えてきます。第三大臼歯は生えるのが遅く、人が成長して親が知らぬ間に生えるので親知らず、知恵がついてから生えるので智歯とも呼ばれています。

親知らずは傾いて生えたり、顎骨の中に埋まったままになったりして正しい位置に生えてこないことがあります。

原因は、人間の進化と食生活の変化により顎の骨が狭くなったため、親知らずの生える場所が不足し正しい位置に生えることができなくなるためです。

親知らずの生え方は、
▽上・下真っ直ぐに咬んでいるもの、
▽下の智歯が正常で上の智歯が異常な生え方をしたもの、
▽下の智歯が第二大臼歯(だいにだいきゅうし)の頭の部分や根の部分に懐いている水平埋伏歯(すいへいまいふくし)と呼ばれ頬側(きょうそく)・舌側(ぜっそく)に生えようとするもの、があります。

正常に生えない親知らずを放っておくと最も起きやすい病気は下顎智歯周囲(かがくちししゅうい)炎です。 その他、傾いた智歯は前または、上の方に進もうとしますが、そのため前歯の歯並びを悪くする原因の一つになります。

それでは智歯周囲炎を放っておくとどうなるか。

下顎の智歯の周りの組織は炎症が広がりやすい構造になっており、炎症の広がりによって頬の部分が腫れたり、顎(あご)の下の炎症が起こります。また、喉(のど)に炎症が広がると物を飲みにくくなったり(嚥下困難)します。

口を開けたり閉めたりする筋肉に炎症が及ぶことにより、口が開けにくくなり喉が痛くなったりします。炎症が更に進むと発熱、悪寒といった症状になり抵抗力が弱まり、まれに入院による治療なども必要となることもあります。

これら炎症が起こった場合、症状を抑える抗生剤等を用いますが治ったのではなく、症状が軽くなっただけで回を重ねる度に症状は重くなってしまいます。

炎症が治まったら原因となった親知らずを放置しないで抜歯することをお薦めいたします。親知らずの抜歯にさいし、いろいろ取りざたされていますが、傾いて生えたり顎骨に埋まっているため、他の歯と比べて技術がややむずかしいこともあります。

しかし、現代歯学の発達と技術の向上は術後の後遺症を克服できるようになっており、親知らずの抜歯は危険ではありません。

このことをよく理解していただき、かかりつけの先生とよく相談して、その指示を十分に守るのがよいと思います。